6月30日(日)、イギリス選手権をこの目で見るべく、片道4時間30分、往復9時間かけ、マンチェスターまで行ってきました。
展望は前の記事に簡単にまとめています。
ワイトマン選手は大会2日前にふくらはぎの怪我のため、棄権が事前に発表されていました。
会場のアナウンサーはジェイクの父、ジェフさんでした。オリンピックへの最後の選考会で、クオリファイの可能性が高かった実の息子の走りのアナウンスができなかったことは非常に心が痛かったと思います。
そのような中で、ジャイルズ選手の800mでした。
前日の予選は組にも恵まれて余裕を持って通過。
迎えた決勝。
ラスト200mで仕掛けて先頭で迎えたラスト100m。
そのまま行けば3着に入って代表に入れたところ、後ろから来たジョシュ・カー選手と脚が交錯し転倒してしまいました。
会場で見ていた私は時が止まったような感覚でした。
その後の1500mのレースも観るのに何だか身が入らなく、何とも言えない気持ちで会場を出たところで、ジャイルズ選手の奥さんと子どもたちに会いました。
私がもし奥さんの立場だったら、泣き崩れて立ち直れないような気持ちだと思います。
そんな中で、何とかかけた “I’m sorry to see that.(とても残念でした。)” の言葉に対して、
No, it’s racing. (いや、これがレースだからね。)
と、こちらを気遣って、笑顔で気丈に振る舞う姿、言葉にさらに何も言えなくなりました。
なんて強い人、素敵な奥さんなんだと、頭が上がりませんでした。
さらにその後、帰りの駐車場へと向かう途中、なんとダウン終わりのジャイルズ選手にばったりと会いました。
これも仮に私がジャイルズ選手の立場だったら(そんなことを想像するのも恐れ多いですが)、感情の整理がつかずに人前に出るなんてできないと思います。
しかし、ジャイルズ選手はいつもと変わらず笑顔で声をかけてくれ、ハグをしてくれて、
Thank you for coming. It can’t be helped that it happened.
(来てくれてありがとう。起こったことは仕方ないよ。)
と、こちらも言葉に詰まる私に、気を遣ってくれました。この時は本当に泣きそうになりました。
この日のために多くの時間やお金をかけてきたはずで、あの一瞬で4年に1度のチャンスが潰えてしまったというのに、ちょっとした知り合いで、ただ応援にきた私のような人にも、最大限の気遣いをしてくれる。超一流のアスリートであるのはもちろんのこと、人間として素敵すぎて、言葉にできません。
本当であれば、エリオットが無事にオリンピック内定を決めて、ハッピーな気持ちで帰るのがベストでしたが、奥さんも含め本当に人間業とは思えない対応や言葉をいただいて、思いもよらない形でしたがこれもまた替え難い瞬間でした。
自分に降りかかる困難や不幸なんて、超超超ちっぽけなものだし、人間としてもまだまだ未熟と思わされました。
そういうことを感じさせてくれただけで、今回はマンチェスターまで足を運んで(よくはないのですが)よかったです。
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すてき