6月7日-12日にイタリア・ローマでヨーロッパ陸上競技選手権が開催されます。
エリア選手権のためGLのカテゴリーがつき、しかも次回のエリア選手権までそのポイントが有効なので、選手にとってはその後に控える国内選手権と合わせて、パリオリンピックに向けた超重要な大会です。
本日その欧州選手権のイギリス代表選手が発表されました。
今年もまたイギリスでは、特に中距離でのパリオリンピック代表争いが熾烈を極めています。
男子800m
欧州選手権代表選手
エリオット・ジャイルズ
トーマス・ランドルフ
カラム・ドッヅ
パリオリンピック参加条件
ターゲットナンバー:48
参加標準記録:1:44.70
ブダペスト世界選手権3位のベン・パティソン選手、1’43″台の記録を持つマックス・バージン選手とダニエル・ロウデン選手の国内トップリスト上位3名はエントリーせず。
それでも顔ぶれは豪華で、ジャイルズ選手は現在の主戦場は1500mながらも室内800mの世界歴代2位、室内欧州記録(1’43″63)保持者で、リオと東京のオリンピックに800mで出場しています。
ちなみにジャイルズ選手とは何回かトレーニングに参加させてもらったり、勤務校に来てもらったりしました。私のプロフィール画像の隣は彼です。笑
またドッヅ選手は国内ワールドランキングは13位ながらも、先日1’44″79で走っており、標準記録に肉薄する実力者。13位でこのレベルは層の厚さが異常です。
パリオリンピック参加圏内にいるのは、標準突破者が5名、ワールドランキングでの圏内が4名の計9名です。
男子1500m
パリオリンピック参加条件
ターゲットナンバー:45
参加標準記録:3:33.50
まずは過去2大会の世界選手権チャンピオン、ジョシュ・カー選手とジェイク・ワイトマン選手のエントリーはありませんでした。以前彼らの記事を書いたのでよろしければどうぞ。
2名とも、先日のプリフォンテーン・クラシックでは良い走りをしていたので、完全にイギリス選手権とオリンピックに標準を合わせていくつもりでしょう。
あと気になった点としては、
- ジャイルズ選手が1500mではなく、800mにエントリーしたこと。
- 1500mで実績のあるジョージ・ミルズ選手が5000mにエントリーしたこと(今年のボストン室内で12’58″68で走っています)。
- 枠を2名しか使っていないこと。
ただ、ゴーリー選手も2023年と2019年にナショナルチャンピオンになっている実力者で、ラストがキレる選手です。
オリンピック参加圏内にいる7名は全員が標準記録を余裕で突破しており、ワールドチャンピオン2名に加え、それに追随する選手も猛者だらけという壮絶なイス争いが必至です。
女子800m
欧州選手権代表選手
キーリー・ホジキンソン
アレックス・ベル
エリン・ワレイス
パリオリンピック参加条件
ターゲットナンバー:48
参加標準記録:1:59.30
ホジキンソン選手はアメリカのアシング・ムー選手と並んで現在の女子800mではほぼ敵なしの選手。先日のプリフォンテーン・クラシックでも圧勝。22歳ながらレース巧者の印象があります。
400mもつい先日51秒61で走っていました。
この代表3名を含めすでに8名がパリオリンピックの標準記録突破済みです。
女子1500m
欧州選手権代表選手
ジェマ・リーキー
ジョージア・ベル
カティ・スノウデン
パリオリンピック参加条件
ターゲットナンバー:45
参加標準記録:4:02.50
東京オリンピック女子1500m銀メダリスト、イギリス記録保持者(3’54″50)のローラ・ミュア選手はエントリーせず。国内では1500mではほぼ敵なしなので、そのままイギリス選手権とオリンピック、その前後のダイヤモンドリーグに合わせていくでしょうか。
主戦場が800mのジェマ・リーキー選手は1500mに。東京オリンピック4位、ブダペスト世界選手権5位、グラスゴー世界室内選手権2位と800mでは安定した結果を残しているので、1500mでも枠を狙う?
パリオリンピック出場圏内にいるのはこの3名を含めた7名、うち5名が標準記録突破済みです。
まとめ
欧州選手権と国内選手権が続くヨーロッパではこの6月に大きくランキングが動く可能性があります。
いずれにせよ、国内でこれだけ熾烈な争いを抜けた選手なので、常に入賞やメダル圏内にいるのも納得です。
この層の厚さと強さの理由となっている「何か」にはまだまだ学ぶことが多そうです。
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