2025年、東京世界選手権イヤーの今年、特に日本人選手は2007年大阪大会ぶりの母国開催の世界選手権への出場権を獲得するために、海外転戦が多かったように思います。
私も有難いことに、多くの選手の海外遠征サポートをさせていただきました。
勝負事なので、もちろん結果は悲喜交々ですが、今年の記録としてここに残しておこうと思います。
長くなるので2回に分けて書きます。
松本 奈菜子 選手(東邦銀行)カナダ遠征
1戦目:エドモントン招待

日にち:2025年7月13日(日)
会 場:Foote Field, エドモントン・カナダ
大会カテゴリ:WAコンチネンタルツアー・シルバー(B)
結 果:
女子400m 7着 53秒98
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2戦目:ジェローム・クラシック

日にち:2025年7月15日(火)
会 場:Swangard Stadium, バーナビー・カナダ
大会カテゴリ:WAコンチネンタルツアー・ブロンズ(C)
結 果:
女子400m 4着 54秒29
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サポート内容
今回のサポートは出場交渉と旅程管理だけでしたが、交渉段階でまたいろいろとありました。
まず、出場レースを決める段階で、WAのカレンダー上は両方ともコンチネンタルツアー・シルバー(Bカテゴリー)でしたが、出場希望を出してからブロンズ(Cカテゴリー)に格下げの連絡がありました。今年は他の大会でも、昨年からカテゴリーを下げて実施する大会がいくつかあり、どの大会も各カテゴリーのレギュレーションを満たすための資金繰りに苦労しているんだろうなと感じています。
また、出場確約がなかなか頂けず、2戦目のジェローム・クラシックでさえ出場確約が出たのが試合10日ほど前で、1戦目のエドモントン招待に至っては、なんと2日前でした。
出国時はもし直前でも受け入れOKが出れば出場する予定でカナダ入りしていたので、2日前で対応できましたが、もしこれが日本にいたら断らざるを得ません。
こうように急遽回ってくるチャンスを掴んだり、急な状況に対応していくのも、ワールドランキングという制度がある現在では大事な能力かと思います。
個人的なことにはなりますが、いつもはヨーロッパの試合のアレンジをすることが多く、主催者とはほぼ時差なくやり取りができるので、日本との時差を考えておけば良いのですが、今回は日本、カナダ、イギリスの3つのタイムゾーンで色々なやり取りをしていたので、その難しさも勉強できました。
巖 優作 選手(山陽特殊製鋼)欧州遠征
1戦目:モトネットGP・ヨエンスー

日にち:2025年7月12日(土)
会 場:Keskusurheilukenttä, ヨエンスー・フィンランド
大会カテゴリ:WAコンチネンタルツアー・ブロンズ(C)
結 果:
男子やり投 2位 76m61
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2戦目:KBCナイト・オブ・アスレティクス

日にち:2025年7月19日(土)
会 場:Stadion De Veen, ヒューズデンゾルダー・ベルギー
大会カテゴリ:WAコンチネンタルツアー・ブロンズ(C)
結 果:
男子やり投 1位 78m25
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巖選手の投稿↓(2枚目に投てき動画)
3戦目:ISTAF 2025

日にち:2025年7月27日(日)
会 場:Olympiastadion, ベルリン・ドイツ🇩🇪
大会カテゴリ:WAコンチネンタルツアー・シルバー(B)
結 果:
男子やり投 位 77m45
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巖選手の投稿↓
サポート内容
今回は世界選手権出場に向けたターゲットナンバー入りを目指した欧州ツアーでした。
1戦目は巖選手自身が調整をし、私は2、3戦目の調整をしました。
今回は「交渉」って難しいなと思わされる場面がいくつかありました。
主催者としても、お金の問題やより良い大会運営をするために、様々なことを考えないといけないので、
- 受け入れ条件(宿泊カバー、交通費、賞金など)
- いつまで待てるか
- ある種目に空きがあるので誰か紹介してくれないか
などを聞いてくることがあります。
日本人選手の出場交渉をするときは、お金のことを考えるケースは少なく、どんな条件でもまずは出場枠をもらうということが最優先のことが多いですが、もしこれが本当の意味で「仕事」として競技をしている選手にとっては旅費や宿泊費のカバーがあるかないかは大きな違いで、そこをカバーしてもらえるように交渉する必要もあるかもしれません。
また、3戦目のISTAFはまたしても大会3日前という直前に出場OKが出て、この時も巖選手はフィンランドを拠点に動いていたので対応することができました。
まとめ
今回の2選手のサポートはいずれも遠隔で主催者とのやり取りがメインでしたが、ギリギリでの受け入れであったにもかかわらず、出場できました。
これがもし日本にいたら2,3日前の受け入れOKでは対応が難しいですが、今回はすぐ近くにいれたことで出場できました。
これって今となっては大事なことだと思っていて、現行のワールドランキングを元にしたルールの上では、カテゴリのついた試合に出ないことには世界選手権やオリンピック、その他の上位大会に出場するのが難しいシステムになってしまっています。
これには明らかに地域格差があり、ヨーロッパとアジアではカテゴリのついた試合数に明らかな差があります。
今回のように、例えばシーズン中の数か月だけでもヨーロッパに拠点があれば、日本でいえば県外に遠征に行くくらいの負担感(時差、移動、金銭面)で多くの試合に出場できるチャンスを掴むことができます。
様々な要素があるので、もちろんメリット・デメリットがあるのと、いずれにしてもお金がかかることなので簡単にできることではありません。が、本気で、具体性をもって考えないといけないことだと考えています。
ということで、何をやっても学びがある今日この頃です。
後半に続く。
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